不動産投資ローンの借り換えは、諸費用110万円を回収できるかで決まる

不動産投資ローンの借り換えは、諸費用110万円を回収できるかで決まる お金の話(融資・利回り・税金)
お金の話(融資・利回り・税金)

不動産投資ローンの借り換えは、諸費用約110万円を回収できるかで決まる

監修・執筆 不動産投資リサーチ編集部 金融・不動産分野のリサーチ/メディア運営/一次情報を突き合わせて、売り手の説明を検証しています
結論から先に。営業トークではなく、数字で判断できるように書いています。
この記事の結論(先に言います)
  • 残債3,000万円・借入4年目のモデルで、借り換えの諸費用は約110万円(司法書士報酬を除く。オリックス銀行公式情報より筆者試算)。
  • 最大の落とし穴は繰上返済解約金。借入1年以内は2.00%、5年超は0.50%と料率が下がるため、借り換えは早すぎると損になり得る。
  • 「抵当権設定登録免許税は0.1%に軽減される」「印紙税に軽減措置がある」は、投資用ローンではいずれも誤り。正しくは登録免許税0.4%、印紙税の軽減なし。
  • 専有面積40㎡未満のワンルームは、オリックス銀行の借り換え対象外。投資用ワンルームの借り換え先が限られる主因の一つ。
  • オリックス銀行は諸費用まで含めた融資が可能と公式に明記。条件次第では自己資金ゼロでの借り換えも選択肢になる。

「金利が下がったから借り換えたほうがいい」。そう聞いて調べ始めたものの、諸費用がいくらかかるのか、結局どれくらい得なのかが分からず、手が止まっている方は多いはずです。

私たちは、不動産会社の販売資料を公的な一次情報と突き合わせて検証することを専門にしています。これまでに数十社分の販売資料と収支シミュレーションを読み比べ、Q&Aサイトに投稿された購入後の相談も継続的に読み込んできました。借り換えの相談で最も多い失敗は、月々の返済額が減ることだけを見て、諸費用の総額と回収期間を計算していないことです。

この記事では、借り換えにかかる諸費用を1円単位で積み上げ、約110万円という総額を示します。そのうえで、多くの人が見落としている「繰上返済解約金」という落とし穴、そして他のサイトが間違えている税金の軽減措置について、公式情報をもとに整理します。

あわせて、借り換えができないケース、自己資金ゼロで借り換えられる可能性、そして損益分岐の考え方まで、できるだけ具体的にまとめました。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・不動産の取得を勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。掲載している数値・制度は執筆時点(2026年7月)のもので、最新の情報は各社の公式サイト・公的機関の一次情報をご確認ください。また本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。
この記事の更新履歴
  • 公開。すべての数値を一次情報にあたって確認し、時点と出典機関を明記しました。
  • 日本銀行が2026年6月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%から1.00%程度へ引き上げたこと、および短期プライムレートの2.375%への改定(2026年8月3日予定)を反映しました。
構造

借り換えの「損益分岐」とは何か

不動産投資ローンの借り換えを検討する際、多くの方は「今より金利が下がるかどうか」だけを見て判断しようとします。しかし、借り換えには事務手数料や登録免許税など、いくつもの諸費用が発生します。

借り換えには、事務手数料や登録免許税といった諸費用が、ほぼ例外なく発生します。金利が下がって毎月の返済額が減っても、その諸費用を利息の削減分で回収できなければ、トータルでは損をしていることになります。この「諸費用を回収できるかどうか」の分岐点こそが、借り換えの損益分岐です。

2024年9月から短期プライムレートは段階的に引き上げられ、2026年8月には2.375%への改定が予定されています(2024年9月比+0.9%)。金利環境が変化している今だからこそ、借り換えの是非を一度立ち止まって計算する価値があります。

✓ 結論

借り換えの判断材料は「金利差」だけではありません。「諸費用の総額」「残債の残り期間」「繰上返済解約金の料率」の3つを同時に見なければ、損益分岐は計算できません。次の章から、それぞれを具体的な数字で確認していきます。

借入時の金利環境そのものを振り返りたい方は、金融機関別のローン金利一覧を整理した記事もあわせてご覧ください。

特に投資用ローンには、住宅ローンにある「5年ルール」「125%ルール」のような返済額の急変を緩和する仕組みが付かないことが多いという特徴があります。金利上昇の影響がほぼそのまま返済額に反映されるからこそ、借り換えの損得を数字で確認しておく意味があります。

金利が下がったという一言だけでは、借り換えが得かどうかは分からない。
金利が下がったという一言だけでは、借り換えが得かどうかは分からない。
物理的限界を数値で語る

諸費用は約110万円——1円単位で積み上げる

借り換えにかかる諸費用を、残債3,000万円・土地建物各1個・借入4年目というモデルで積み上げてみます。すべてオリックス銀行の公式情報(2026年7月1日現在)にもとづく金額です。

項目金額
新規借入の事務手数料(借入金の2.20%)660,000円
抵当権設定の登録免許税(債権金額の0.4%)120,000円
抵当権抹消の登録免許税(不動産2個)2,000円
印紙税(金銭消費貸借契約書)20,000円
既存ローンの繰上返済解約金(借入4年目・1.00%)300,000円
司法書士報酬見積り次第
合計(司法書士報酬を除く)約110万円
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次の図で、この内訳を視覚化します。

諸費用の内訳(残債3,000万円・借入4年目) 事務手数料 66.0万円 繰上返済解約金 30.0万円 抵当権設定登録免許税 12.0万円 印紙税 2.0万円 抵当権抹消登録免許税 0.2万円 合計 約110万円(司法書士報酬を除く) 出典:オリックス銀行公式情報(2026年7月1日現在) 法務局・国税庁の税率をもとに筆者試算 図1 最も大きいのは事務手数料。次いで繰上返済解約金が効いてくる。

この約110万円を、金利差による利息削減額で回収できるかどうかが、借り換えの損益分岐そのものです。残債が少ない、あるいは残りの返済期間が短い場合、この110万円を回収しきれない可能性があります。

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逆算

最大の落とし穴——繰上返済解約金は「早すぎると損」

諸費用の中で、競合サイトがほとんど定量化していないのが「繰上返済解約金」です。既存ローンを一括返済する際に、借入からの経過期間に応じた解約金がかかります。

借入日からの経過期間(変動金利期間中)料率
1年以内2.00%
1年超3年以内1.50%
3年超5年以内1.00%
5年超0.50%
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(固定金利期間中は全期間2.00%。オリックス銀行公式情報・2009年4月1日以降契約が対象)

この料率を、実際の金額に置き換えてみます。残債2,500万円のローンを一括返済する場合、借入からの経過期間によって、解約金は次のように変わります。

残債2,500万円を返済する時期と解約金 借入2年目 料率1.50% 37.5万円 借入4年目 料率1.00% 25.0万円 借入6年目 料率0.50% 12.5万円 残債2,500万円×各期間の料率で筆者試算(オリックス銀行の料率にもとづく) 図2 同じ残債でも、経過期間が短いほど解約金は重くのしかかる。
⚠ 警告

金利が下がったからといって焦って借り換えると、繰上返済解約金だけで数十万円を失うことがあります。借り換えは、早すぎるとかえって損をする構造があるということを、まず理解してください。

金利が今後どう動くかは、借り換えを検討する上で避けて通れない論点です。金利上昇局面での毎月の負担については金利2.0%→3.0%でキャッシュフローがいくら減るかを試算した記事で扱っています。

多くの借り換え解説記事は、事務手数料や登録免許税までは紹介しても、繰上返済解約金を経過年数別に金額まで示していません。契約から日が浅いオーナーほど、この解約金の存在に気づかないまま借り換えの試算を進めてしまいがちです。契約書に記載されている借入日を確認し、自分が今どの料率区分にいるかを最初に把握してください。

積み上げていくと約110万円になる諸費用の内訳を、誰も見せてくれない。
積み上げていくと約110万円になる諸費用の内訳を、誰も見せてくれない。
良い答え/危険な答え

他サイトが間違えている2つの税金の話

借り換えについて調べていると、税金の軽減措置に関する誤った情報を目にすることがあります。投資用ローンに実際に当てはまるかどうかを、公式情報で確認しておきます。

⚠ 誤った説明

「抵当権設定の登録免許税は0.1%に軽減されます」——これは投資用物件には当てはまりません。0.1%への軽減(租税特別措置法75条)が適用されるのは「個人が一定の要件を満たす住宅用家屋」の購入資金の場合のみです。投資用物件の抵当権設定は、原則どおり0.4%が正しい税率です。

⚠ 誤った説明

「印紙税にも軽減措置があります」——これも誤りです。印紙税の軽減措置は不動産譲渡契約書・建設工事請負契約書に限られます(国税庁コード7108)。金銭消費貸借契約書(ローンの契約書)には軽減措置は適用されません。

✓ 正しい理解

投資用ローンの借り換えでは、抵当権設定の登録免許税は0.4%、印紙税は軽減なしの通常額(1,000万円超5,000万円以下の契約で2万円)として、諸費用を計算してください。

こうした軽減措置の誤りは、住宅ローンの借り換え記事を投資用ローンにそのまま当てはめてしまうことが原因だと考えられます。制度の適用対象が「個人の居住用」に限定されているケースは、投資用ローンの記事を読むうえで常に注意すべき点です。

金融機関や司法書士に諸費用の見積もりを依頼する際は、登録免許税と印紙税をどの税率で計算しているかを、見積書の内訳で確認してください。誤った軽減税率で計算された見積もりを鵜呑みにすると、実際の支払時に差額が発生する可能性があります。

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上記はINVASEの公表値・公開情報にもとづく記載です。最新の条件は公式サイトでご確認ください。

実務

借り換えができない8つのケース

借り換えを検討する前に、そもそも対象になるかどうかを確認しておく必要があります。オリックス銀行の借り換え条件(2026年7月1日現在)をもとに、対象外となる主なケースを整理します。

条件内容
残債の下限2,000万円未満は対象外
エリア首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)・近畿圏・名古屋市・福岡市以外は原則不可
専有面積40㎡未満のマンションは対象外
築年数・構造築古・耐用年数超過の物件は一部制限
団信団体信用生命保険に加入できない健康状態は対象外
グループ内借り換えオリックスグループの住宅ローンの借り換えには利用不可
返済遅延直近1年以内に返済遅延がある場合は対象外
年収・勤続前年度税込年収500万円以上、同一勤務先3年以上が原則
← 横にスクロールできます
! 注意

特に見落とされがちなのが専有面積40㎡未満の制限です。投資用ワンルームは20〜25㎡程度のものが多く、この条件だけで借り換え先の選択肢が大きく狭まります。借り換えを検討する際は、まず自分の物件の専有面積を確認してください。

年収要件についても、初回のローン契約時と借り換え時で条件が異なる場合があります。金融機関ごとの年収要件の違いは年収別の借入可否を整理した記事で扱っています。

発想転換

隠れた朗報——諸費用込みで、自己資金ゼロの借り換えもある

ここまで、借り換えのハードルばかりを見てきました。しかし、あまり知られていない朗報もあります。

オリックス銀行は、借り換えの場合「借換対象の現在のローン残債務に、繰上返済手数料、諸費用(登記関連費用、火災保険料、印紙代など)を加えた額(1万円単位切上げ)以内」まで融資可能と公式に明記しています。

✓ 結論

つまり、これまで見てきた約110万円の諸費用まで、新しいローンに含めて借りられる可能性があるということです。手元の自己資金を使わずに借り換えられるケースが実在します。

この点は、借り換えを紹介する記事の多くで触れられていません。ただし、諸費用まで借入に含めると、その分だけ新しいローンの残高は増えます。月々の返済額や総支払額への影響も含めて、諸費用を自己資金で払うか、借入に含めるかを比較検討する必要があります。

いずれにしても、諸費用を自己資金で用意できるかどうかが借り換えの障壁になっていた方にとっては、選択肢が広がる情報です。

諸費用を借入に含める場合と、自己資金で払う場合とでは、総支払額の考え方が変わります。諸費用分を借入に上乗せすると、その分の元金に対しても長期間利息がかかり続けます。手元資金に余裕があるなら自己資金で払い、資金効率を優先したいなら借入に含める、という判断軸になります。

繰上返済解約金の請求書を前に、「早く動きすぎた」と気づくオーナーは少なくない。
繰上返済解約金の請求書を前に、「早く動きすぎた」と気づくオーナーは少なくない。
警告

「店頭表示金利」は、あなたが払う金利ではない

借り換え先の金利を比較する際、公式サイトに掲載されている金利をそのまま「自分が払う金利」だと思い込むのは危険です。

金融機関金利(目安)時点・出典
オリックス銀行変動金利型 店頭表示金利 年4.425%(基準:短期プライムレート年2.425%)2026年7月1日現在
日本政策金融公庫(国民生活事業・有担保)基準利率 年2.50〜4.80%/特別利率E 年1.95〜3.40%令和8年7月1日現在
静岡銀行 アパートローン非公表(長期プライムレート連動・信用格付で決定)公式サイト
← 横にスクロールできます
⚠ 警告

オリックス銀行の年4.425%は店頭表示金利(上限側の目安)です。実際に適用される金利は、属性・物件・返済実績などをもとにした審査で個別に決まります。「これが自分の払う金利だ」と考えると、シミュレーションの前提を誤ります。

金利表示を比較する際は、店頭表示金利ではなく、実際に事前審査を受けたうえで提示された適用金利で比較することが不可欠です。複数の金融機関に打診し、実際の提示条件を並べて初めて、正確な損益分岐の計算ができます。

日本政策金融公庫の金利に幅があるのは、事業の内容や担保の有無、信用状況などに応じて個別に金利が決定されるためです。政府系金融機関だからといって、常に最も低い金利が適用されるとは限りません。複数の選択肢を並べて比較する姿勢が欠かせません。

警告

司法書士報酬は、正直に「確認できず」と書きます

諸費用の一つに司法書士報酬があります。抵当権の設定・抹消の登記手続きを依頼する際に発生する費用です。

この報酬額について、日本司法書士会連合会の公表資料などを確認しましたが、公的な平均額を特定できませんでした。報酬は自由化されており、司法書士や地域によって差があるためです。

+ 補足

根拠のない金額を「相場は〇万円」と書くことはしません。司法書士報酬については、借り換え先の金融機関から紹介される司法書士、あるいは自分で探した司法書士から、事前に見積もりを取ることをおすすめします。複数の見積もりを比較すれば、報酬の妥当性も判断しやすくなります。

この不確実な項目を除いた約110万円が、この記事で確定的に示せる諸費用の総額です。司法書士報酬は、見積もりを取った時点で上乗せして損益分岐を再計算してください。

実務

損益分岐を自分で計算する

ここまでの数字を使って、損益分岐の考え方を整理します。以下はあくまで筆者試算の目安であり、実際の数値は金融機関の審査結果によって変わります。

損益分岐の考え方 諸費用 約110万円 +繰上返済解約金 +司法書士報酬 利息の削減額 金利差 × 残債 × 残りの返済期間 (筆者試算の目安) 削減額が諸費用を上回るまでの年数が「回収期間」 図3 残債が多く、残存期間が長いほど、諸費用は回収しやすくなる。

例えば、残債3,000万円・残り返済期間25年のローンで、金利が1.0%下がったとします。単純に残債×金利差で試算すると、初年度だけで年間30万円程度の利息削減効果になる計算です(元金の減少を考慮しない簡易試算・筆者試算の目安)。この場合、約110万円の諸費用は4年目前後で回収できる計算になります。

! 注意

この試算は簡略化したものです。実際には元金が毎年減っていくため利息削減額も年々小さくなり、繰上返済解約金や司法書士報酬を含めるとさらに回収期間は延びます。金融機関の審査で示される正確な返済シミュレーションを確認したうえで、最終判断をしてください。

残債が少なく、この試算そのものが成立しない物件もあります。すでに残債割れの状態であれば、借り換えよりも先に検討すべき選択肢があります。残債割れワンルームの出口戦略を損益分岐で整理した記事を参考にしてください。

店頭表示金利という数字が、そのまま自分の返済額になるとは限らない。
店頭表示金利という数字が、そのまま自分の返済額になるとは限らない。
実務

無料のオンライン診断で、まず概算を把握する

諸費用や損益分岐を自分で計算するのは手間がかかります。実際の借り換えを検討する前段階として、オンラインの無料診断サービスで概算を把握するという方法もあります。

例えば、株式会社MFSが運営する借り換え診断サービスは、公式サイトで次の実績を公表しています。

+ 補足

特別金利 年率1.949%〜での借り換え/毎月返済額は平均1.7万円削減/支払利息は最大75%カット。算出根拠は2024年7月〜12月に借換本審査承認となった顧客からの算出(同社公式サイトより)。診断は無料・オンライン完結で、借り換えが成立した場合のみ手数料が発生する成功報酬型です。

! 注意

株式会社MFSは投資助言・代理業者ではなく、貸金業者(東京都知事第31690号)です。診断サービスは「助言」ではなく、あくまで情報提供・診断・商品提案として受け止めてください。無料であることと、提示される条件が自分にとって最適であることは別の話です。

次の図で、こうした診断サービスを使う際の一般的な流れを整理します。

無料診断に 情報を入力 概算の削減額が 提示される 諸費用を含めて 損益分岐を再計算 本審査で 適用金利確定 概算はあくまで入口。最終判断は本審査で示された条件で行う。 図4 無料診断はあくまで概算の入口。最終判断は本審査の条件を見てから。

診断で示される削減額はあくまで概算です。この記事で整理した諸費用約110万円、繰上返済解約金、専有面積の条件などをあわせて確認し、最終的な損益分岐は自分の物件の数字で計算し直してください。

判定

借り換えを検討する前の実務チェックリスト

ここまでの内容を、実際に借り換えを検討する際のチェックリストとして整理します。

+ 補足

①残債・専有面積・エリアが借り換え先の条件を満たしているか ②借入からの経過年数と繰上返済解約金の料率を確認したか ③店頭表示金利ではなく、事前審査で示された適用金利で比較したか ④諸費用を自己資金で払うか、借入に含めるかを比較したか ⑤司法書士報酬の見積もりを取ったか。

借り換えは、住宅ローンを検討する順番にも影響します。投資用ローンの返済額は住宅ローンの審査に算入されるため、借り換えで返済額が下がれば、将来のマイホーム購入にも余裕が生まれる可能性があります。この関係については投資用ローンが住宅ローンに与える影響を整理した記事で詳しく扱っています。

借り換え診断そのものは、無料のオンラインサービスを使って概算を把握することもできます。ただし、こうした診断はあくまで情報提供・診断であり、個別の投資判断そのものを助言するものではない点には注意してください。

✓ 結論

借り換えの是非は、金利の高低だけでなく、諸費用約110万円を何年で回収できるかという一点にかかっています。焦って動く前に、まず自分の残債・経過年数・専有面積を確認することから始めてください。

よくある質問

不動産投資ローンの借り換えで、諸費用はいくらかかりますか。

残債3,000万円・借入4年目というモデルでは、事務手数料・登録免許税・印紙税・繰上返済解約金を合計して約110万円になります(司法書士報酬を除く。オリックス銀行公式情報にもとづく筆者試算)。実際の金額は残債や借入からの経過年数によって変わります。

繰上返済解約金はどのタイミングで借り換えると安くなりますか。

オリックス銀行の場合、借入からの経過期間が長いほど料率は下がります(1年以内2.00%、1年超3年以内1.50%、3年超5年以内1.00%、5年超0.50%)。同じ残債でも、経過年数が浅いうちに一括返済すると解約金は高くなります。

抵当権設定の登録免許税は0.1%に軽減されますか。

投資用物件には適用されません。0.1%への軽減は「個人が一定の要件を満たす住宅用家屋」の購入資金に限られます。投資用ローンの借り換えでは、原則どおり0.4%の税率がかかります。

印紙税は軽減されますか。

金銭消費貸借契約書(ローンの契約書)には軽減措置は適用されません。印紙税の軽減措置は不動産譲渡契約書・建設工事請負契約書に限られます。誤った情報を目にすることがあるため、注意してください。

専有面積の狭いワンルームは借り換えできませんか。

金融機関によって条件は異なりますが、オリックス銀行は専有面積40㎡未満のマンションを借り換え対象外としています。投資用ワンルームは20〜25㎡程度のものが多く、この条件だけで選択肢が限られる場合があります。複数の金融機関に確認することをおすすめします。

自己資金なしで借り換えはできますか。

金融機関によっては、既存ローンの残債務に諸費用を加えた額まで融資する仕組みがあります。オリックス銀行はこの取り扱いを公式に明記しています。ただし、諸費用を借入に含めるとその分だけ返済総額は増えるため、自己資金で払う場合との比較検討が必要です。

店頭表示金利がそのまま自分の適用金利になりますか。

そうとは限りません。店頭表示金利は上限側の目安であり、実際に適用される金利は属性・物件・返済実績などをもとにした審査で個別に決まります。比較する際は、事前審査を受けて示された適用金利をもとに判断してください。

司法書士報酬はいくらかかりますか。

公的な平均額を確認できませんでした。報酬は自由化されており、司法書士や地域によって差があります。借り換え先の金融機関から紹介される司法書士、あるいは自分で探した司法書士から、事前に見積もりを取ることをおすすめします。

参考にした一次情報 本記事の数値は、上記の一次情報にあたって確認しています。各数値には「いつ時点の、どの機関の数字か」を本文中に明記しました。編集部が独自に計算した数値には「筆者試算の目安」と付記しています。制度・金利は変動しますので、最終的な判断の前には必ず公式の最新情報をご確認ください。
まとめ

「金利が下がったから借り換えたほうがいい」という言葉だけでは、判断材料として不十分です。借り換えには約110万円の諸費用がかかり、それを回収できるかどうかが本当の分岐点になります。

特に繰上返済解約金は、借入からの経過年数によって大きく変わります。焦って早いタイミングで動くと、かえって損をすることがあります。まずは自分の残債、借入からの経過年数、物件の専有面積を確認し、複数の金融機関から実際の適用金利を取り寄せてください。

店頭表示金利という「見せかけの数字」ではなく、事前審査で示される実際の条件をもとに、諸費用を含めた損益分岐を計算する。この順番を守ることが、借り換えで損をしないための唯一の方法です。

借り換えの概算をまず把握したい方は、無料のオンライン診断を使って目安を確認したうえで、金融機関との具体的な交渉に進むという進め方もあります。

不動産投資リサーチ編集部(ふどうさんとうしリサーチへんしゅうぶ)/金融・不動産分野のリサーチ/メディア運営 私たちの専門は一つです。業者の販売資料を、公的な一次情報と突き合わせて検証すること。日本銀行の金利統計、東日本レインズの成約データ、日本不動産研究所の投資家調査、国税庁の通達、国土交通省の行政処分情報、各社のIR資料——売り手が語らない数字は、そのすべてが公開されています。ただ、誰も読んでいないだけです。銀行の審査部が物件をどう見ているのかを、投資家側の言葉に翻訳すること。それがこのサイトでやっていることです。
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