宅建業免許の「カッコ内の数字」で会社の年輪が読める。(1)と(6)の間にある25年の差
- 宅地建物取引業免許は5年ごとに更新される(1996年より前は3年ごとだった)。カッコ内の数字は更新回数を示す。
- 東京都知事(1)第◯号は免許取得から5年未満、国土交通大臣(6)第◯号は25年以上の営業を意味する。
- 大臣免許は事務所が2つ以上の都道府県にまたがることを意味するにすぎず、大臣免許=優良、という意味ではない。
- 免許番号は会社が名乗るものではなく国・都道府県が付与する通し番号であり、誇張のしようがない。
- カッコ内の数字が小さくても、社名変更・本店移転・組織再編でリセットされた可能性がある。国交省のネガティブ情報等検索システムで行政処分歴を忘れずに確認する必要がある。
不動産会社のウェブサイトやパンフレットの片隅に、小さく書かれている「東京都知事(1)第◯◯号」「国土交通大臣(6)第◯◯号」という表記を、注意して見たことはあるでしょうか。
私たちは、不動産会社の販売資料を公的な一次情報と突き合わせて検証することを専門にしています。これまでに数十社分の販売資料と収支シミュレーションを読み比べ、Q&Aサイトに投稿された購入後の相談も継続的に読み込んできました。その立場から言えるのは、この10数文字が、営業トークよりもずっと正直に会社の年輪を語っているということです。
この記事では、宅建業免許がなぜ5年ごとに更新されるのか、カッコ内の数字が何を意味するのか、そして知事免許と大臣免許の違いを整理します。あわせて、この数字だけで会社を判断してはいけない理由と、行政処分歴を確認する具体的な手順まで、順番に説明します。
あわせて、免許番号だけでは分からない部分を補うために、行政処分歴の調べ方や、各社が公開している情報の質まで、実務で使える形で整理しました。
免許番号を見たことがありますか
不動産投資会社のウェブサイトには、ほぼ例外なく宅地建物取引業の免許番号が記載されています。「東京都知事(1)第◯◯号」「国土交通大臣(6)第◯◯号」といった表記です。
多くの方は、この番号を単なる法定表示事項として読み飛ばしてしまいます。しかし、この番号のカッコ内の数字には、会社の営業年数を読み解く手がかりが詰まっています。
私たちが会社を検証する際も、この番号は欠かさず確認する項目のひとつです。決算書を見るより先に、この番号だけで会社のおおよその年輪が分かるからです。
不動産投資の営業を受ける場面では、利回りや管理体制の説明に意識が向きがちで、免許番号そのものに注目する方は多くありません。しかし、この番号は、会社が自ら語る実績とは独立した、行政による客観的な記録です。
この記事では、免許番号の読み方を入り口に、会社を見極めるための4つの階層を順番に整理していきます。読み終える頃には、パンフレットの謳い文句より先に、この番号を確認する習慣がついているはずです。
会社の実績を知る手がかりとしては、決算公告や企業サイトの沿革ページもありますが、これらは会社側が編集した情報です。一方、免許番号は行政の記録に基づくため、会社側の都合で書き換えることができません。この違いが、免許番号を最初に確認すべき理由です。
次の章から、この番号がどのような仕組みで積み上がっていくのか、具体的な年数の目安とあわせて見ていきます。

宅建業免許は5年ごとに更新される
宅地建物取引業免許には有効期間があり、5年ごとに更新の手続きが必要です。更新のたびに、免許番号のカッコ内の数字が1つずつ増えていきます。
この5年という有効期間は現行のルールです。1996年より前は3年ごとの更新でした。古い免許を引き継いでいる会社では、この制度変更を踏まえて年数を計算する必要があります。
つまり「東京都知事(1)第◯◯号」であれば免許取得から5年未満、「国土交通大臣(6)第◯◯号」であれば、更新を6回重ねた計算になり、25年以上営業を続けていることになります。
私たち自身、免許取得から日が浅い会社をどう評価するかに悩んだことは何度もあります。営業年数が短いこと自体は、必ずしも会社の実力を否定する材料ではありませんが、判断材料のひとつとして重視していました。
逆に、更新を重ねている会社であっても、それだけで安心はできません。次の章から、この数字をどう読み解けばよいかを、具体的に見ていきます。
更新のたびに行われる審査では、事務所の状況や欠格事由の有無などが確認されます。単に時間が経てば自動的に更新されるものではなく、一定の手続きを経て番号が積み上がっていく点も押さえておいてください。
免許番号は、会社が名乗るものではない
ここで押さえておきたい発想の転換があります。免許番号は、会社が自分でキャッチコピーのように名乗っているものではありません。国・都道府県が、審査のうえで付与する通し番号です。
営業トークは誇張できても、行政が付与した通し番号は誇張のしようがありません。「創業以来ずっとお客様第一です」という言葉より、この10数文字のほうが、よほど正直に会社の年輪を語っています。
この発想を持っておくと、会社選びの際に、パンフレットの謳い文句だけでなく、免許番号という一次情報に立ち返る習慣がつきます。
宅建業免許は、免許を受けようとする会社が、一定の基準を満たしているかどうかを国・都道府県が審査したうえで付与するものです。会社が自称する「創業◯年」というアピールとは性質が異なります。
もちろん、創業年数のアピールそのものが虚偽であることは稀です。しかし、営業トークは強調したい部分を強調し、都合の悪い部分は語らないという構造を持ちがちです。免許番号にはその余地がありません。
この発想を持つと、営業担当者が話す「実績」や「信頼」という言葉と、免許番号という客観的な記録を切り分けて評価できるようになります。両方を照らし合わせることで、より立体的に会社を見極められます。

知事免許と大臣免許の違い。大臣免許=優良ではない
免許には「都道府県知事免許」と「国土交通大臣免許」の2種類があります。この違いは、事業の規模に関するものであり、優劣を示すものではありません。
「大臣免許だから信頼できる」という理解は正確ではありません。大臣免許は、事務所が複数の都道府県にまたがっているという規模の話であって、経営の健全性や誠実さを保証するものではありません。
実際、1つの都道府県内だけで手堅く営業を続けている知事免許の会社が、必ずしも大臣免許の会社より劣っているわけではありません。事業展開の形の違いとして理解しておくべきです。
知事免許の会社が大臣免許に切り替わる、あるいはその逆が起こるのは、事務所展開の変化によるものです。単一の都道府県で長年堅実に営業してきた会社が、あえて他県に進出せず知事免許のままでいることも珍しくありません。
会社選びの際は、免許の種類そのものよりも、次に説明する更新回数や行政処分歴のほうが、実質的な判断材料になります。
投資家の立場からは、知事免許か大臣免許かという分類そのものよりも、実際にその会社がどのエリアで、どれだけの規模で事業を展開しているかを、具体的な数字で確認するほうが実用的です。管理戸数や取扱棟数など、公式サイトで開示されている数値もあわせて確認してください。
都心・駅近に限定した中古区分マンションを、オンラインの個別面談で解説。押し売りをせず、リスクと数字を先に開示する会社。
- 取扱いは東京都心・川崎・横浜・大阪・神戸・京都・福岡の駅近に限定
- 入居率99.96%(2025年3月末時点・同社公表値。算定方法は非公表のため他社との単純比較は不可)
- 駅徒歩5分以内の物件が約70%(同社公表値)
- 価格帯は1,000万〜5,000万円程度、平均利回りは表面4%前後(同社公表値)
- 設立2002年/資本金9,000万円/宅建業免許 国土交通大臣(1)第10826号
注意 家賃保証(サブリース)は永久のものではありません。借地借家法32条1項により借上賃料が減額される場合があると、同社が公式に明記しています。
注意 面談特典の対象は年収・年齢・勤続年数・勤務先の条件を満たす方に限られます。条件は公式ページで必ずご確認ください。
上記はJPリターンズの公表値・公開情報にもとづく記載です。最新の条件は公式サイトでご確認ください。
会社を採点する4階層ピラミッド
免許番号だけで会社の良し悪しを判断するのは早計です。私たちは、会社を見極める際に、次の4階層で情報を積み上げることをおすすめしています。
①免許の有無はスタートラインにすぎません。②更新回数(カッコ内の数字)で営業年数の目安をつかみ、③行政処分歴の有無で過去のトラブルを確認し、④入居率などの数値をどこまで具体的に開示しているかで、情報公開の姿勢を評価します。
会社を客観的に見極める指標については、行政処分歴・財務・入居率の定義で判定する4指標の記事でさらに詳しく整理しています。
この4階層は、上に行くほど確認が簡単で、下に行くほど手間がかかりますが、判断材料としての価値は下に行くほど高くなる傾向があります。時間をかけられる範囲で、できるだけ下の階層まで確認することをおすすめします。
この4階層の考え方は、宅建業免許を持つ会社であればどの業態にも当てはめられます。売買の仲介会社、管理会社、サブリース会社など、関わる会社が変わるたびに、同じ物差しで確認する習慣をつけておくと、比較がしやすくなります。
特に、無料セミナーや個別相談への参加を検討している場合は、事前にこの4階層を確認しておくと、当日の説明を鵜呑みにせず、質問すべきポイントを絞り込むことができます。無料セミナーで実際に何が起きるかを時系列で追った記事もあわせてご覧ください。
各社の免許番号を並べてみる
実際に、広告主として比較されることが多い3社の免許番号を並べてみます。
| 会社名 | 免許番号 | 意味 |
|---|---|---|
| JPリターンズ | 国土交通大臣(1)第10826号 | 2025年2月に知事免許から大臣免許へ変更したため(1) |
| B社 | 国土交通大臣(6)第5806号 | 更新6回。25年以上の営業実績 |
| C社 | 東京都知事(5)第83227号 | 更新5回。20年以上の営業実績 |
この表を見ると、JPリターンズだけカッコ内が(1)であることに気づきます。次の章で、この数字を単純に読んではいけない理由を説明します。
表に挙げた3社は、いずれも東証プライムやグロースへの上場企業グループに属する、あるいは長期にわたって実績を積み重ねてきた会社です。免許番号だけを見ても、いずれも一定の営業実績があることが読み取れます。
ただし、番号の読み方には注意が必要な例が1つ含まれています。次の章で詳しく説明します。
表の3社はいずれも、この記事の末尾で紹介する資料請求やセミナーの対象にもなっている会社です。免許番号を含めた基礎情報を押さえたうえで、資料を比較検討する材料にしてください。
免許番号を比較する際は、必ずしも最新の情報が公式サイトのトップページに載っているとは限りません。フッターや会社概要ページ、あるいは重要事項説明書の記載を確認してください。

JPリターンズの(1)を「新しい会社」と誤読してはいけない理由
ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。「カッコ内の数字が小さい=新しい会社」という読み方は、常に正しいとは限りません。
JPリターンズは2002年11月の設立で、20年以上営業を続けている会社です。2025年2月に東京都知事免許から国土交通大臣免許へ切り替わったことで、免許番号のカッコ内が(1)にリセットされました。この事実を知らずに「(1)だから新しい会社」と判断するのは誤りです。
免許番号は、社名変更・本店移転(他の都道府県への移転)・組織再編によってもリセットされることがあります。逆に、カッコ内の数字が大きい会社でも、行政処分歴を抱えている可能性はゼロではありません。
免許番号がリセットされる主なきっかけには、社名変更、本店の他都道府県への移転、会社の合併・組織再編などがあります。JPリターンズのケースは、このうち「知事免許から大臣免許への切り替え」にあたります。
この事例は、免許番号という客観的な情報であっても、背景を理解せずに読むと誤った判断につながりうることを示す、良い教材だと私たちは考えています。数字を鵜呑みにせず、その数字が何によって生まれたのかまで確認する視点を持ってください。
免許番号のカッコ内が(1)であることだけを理由に、契約を避けたり、逆に警戒を緩めたりするのは、いずれも早計です。この事例のように、番号の背景にある事情まで確認する一手間が、正確な判断につながります。
国交省「ネガティブ情報等検索システム」での調べ方
だからこそ、カッコ内の数字だけで判断を終わらせず、行政処分歴を照会する手順を、そのつど踏んでください。
手順1:国土交通省「ネガティブ情報等検索システム」にアクセスする。手順2:会社名または免許番号で検索する。手順3:業務停止命令や指示処分などの行政処分歴が表示されないかを確認する。
このシステムは誰でも無料で利用できます。契約前の数分の確認で、会社の過去のトラブル歴を客観的に把握できるという点で、費用対効果の高い確認作業です。
営業電話がしつこい会社かどうかを事前に見極めたい場合は、営業電話を止める方法を扱った記事も参考にしてください。
行政処分の内容には、指示処分、業務停止命令、免許取消しなど、重さの異なる段階があります。処分歴があるからといって即座に取引を避けるべきとは限りませんが、処分の内容と時期を確認したうえで、自分なりに評価する材料にしてください。
行政処分歴の検索結果に何も表示されない場合でも、それは「絶対に問題がない」ことを意味するのではなく、あくまで「現時点で記録が確認されない」ということにとどまります。他の情報とあわせて総合的に判断する材料としてください。
検索結果の見方に迷う場合は、都道府県の宅建業指導課に電話で問い合わせることも可能です。行政の窓口は、こうした照会に日常的に対応しています。
免許番号以外に確認すべき開示の質
4階層ピラミッドの④にあたる「開示の質」も、会社選びの重要な判断材料です。例えばC社は、入居率の算式(100−(空室件数÷全管理件数×100))を公開しており、3社の中で唯一、算定方法を明示しています。
一方、JPリターンズや上場A社の入居率は、算定方法が非公表です。数値自体は高くても、算定方法が異なるため、単純に他社と比較することはできません。「比較不能である」と正直に伝えることが、誠実な情報提供だと私たちは考えています。
会社ごとの比較の視点は、提携報酬の存在も明記した会社比較の記事にまとめています。JPリターンズという1社を深掘りした評判の検証は、「都心・駅近に限定」という条件を検証した記事をご覧ください。
開示の質を比較する視点は、入居率だけに限りません。修繕費の負担範囲、契約更新の条件、行政処分歴の有無を自ら公表しているかどうかなど、会社が「都合の悪い情報も含めて開示する姿勢」を持っているかどうかを、複数の角度から確認してください。
情報公開に消極的な会社が、必ずしも悪質だとは限りません。ただし、聞かれたことに対して曖昧にはぐらかす姿勢が続くようであれば、それ自体が注意すべきサインとして受け止めるべきです。
開示の質を見極める視点は、免許番号のように一目で分かるものではありませんが、時間をかけて確認する価値のある情報です。

契約前チェックリスト
最後に、契約前に確認すべき項目を整理します。
| 確認項目 | 確認方法 |
|---|---|
| 免許番号のカッコ内の数字 | 会社サイトのフッターや重要事項説明書で確認 |
| 知事免許か大臣免許か | 事務所の所在地の数で判断(規模の違い、優劣ではない) |
| 行政処分歴 | 国交省「ネガティブ情報等検索システム」で検索 |
| 入居率などの算式公開 | 公式サイトで算定方法が明記されているかを確認 |
ワンルームマンション投資そのものへの理解を深めたい方は、「買った瞬間に2割損」の正体を分解した記事もあわせてご覧ください。
これらの確認は、契約直前になって慌てて行うのではなく、資料請求や面談の初期段階から並行して進めることをおすすめします。複数社を比較する際の共通の物差しとして活用してください。
チェックリストの項目は、営業担当者に直接質問しても構いません。免許番号や行政処分歴について具体的に答えられる担当者かどうかも、会社の姿勢を測るひとつの材料になります。
チェックリストを一通り確認し終えたら、複数社に同じ質問を投げかけ、回答の具体性を比較してみてください。免許番号や行政処分歴について淀みなく答えられる会社ほど、情報開示への準備が整っていると評価できます。
数字は誇張できない。だからこそ最初に確認する
免許番号のカッコ内の数字は、会社の年輪を映す数少ない客観的な情報です。ただし、この数字だけを鵜呑みにせず、リセットされる可能性があることも踏まえて、行政処分歴とあわせて確認してください。
サブリース契約を検討している方は、「減額しない特約」は無効だと整理した記事もあわせてご確認ください。契約書の文言より、法律や制度に基づく一次情報のほうが、最終的に頼りになります。
会社選びに時間をかけることは、遠回りのように感じられるかもしれません。しかし、免許番号ひとつから行政処分歴まで確認する数十分の作業は、契約後に数百万円単位の判断を左右する情報を、事前に得るための投資です。
免許番号という小さな手がかりから出発し、行政処分歴、そして開示の質まで確認する。この一連の流れそのものが、会社選びにおける最も基本的な自衛策になります。
よくある質問
免許の更新回数を意味します。宅地建物取引業免許は5年ごとに更新されるため、カッコ内の数字が1つ増えるごとに、5年分の営業実績があることを示します。
免許取得から5年未満であることを意味します。ただし、社名変更や本店移転、組織再編によって番号がリセットされることもあるため、必ずしも「創業したばかりの会社」を意味するとは限りません。
そうとは言えません。大臣免許と知事免許の違いは、事務所が2つ以上の都道府県にまたがっているかどうかという事業規模の話であり、経営の健全性や誠実さを示すものではありません。
JPリターンズは2002年11月の設立で20年以上営業していますが、2025年2月に東京都知事免許から国土交通大臣免許へ切り替えたため、免許番号のカッコ内が(1)にリセットされました。営業年数が浅いという意味ではありません。
各社の公式サイトのフッターや、契約時に交付される重要事項説明書に記載されています。あわせて、国土交通省の「宅地建物取引業者検索システム」でも確認できます。
国土交通省の「ネガティブ情報等検索システム」で、会社名や免許番号を入力して検索できます。業務停止命令や指示処分などの履歴を、誰でも無料で確認できます。
1996年より前は更新期間が3年でした。古くから営業している会社の場合、途中で更新期間が3年から5年に変わっているため、単純にカッコ内の数字×5年で計算すると、実際の営業年数と誤差が生じることがあります。
行政処分歴に加えて、入居率などの数値をどこまで具体的な算定方法とともに開示しているかも、会社の誠実さを見極める材料になります。算定方法を明示している会社は、情報公開への姿勢が明確だと評価できます。

