太陽光発電投資は2026年が最後の年【地上設置は2027年度から新規認定停止】中古で買う条件

太陽光発電投資は2026年が最後の年【地上設置は2027年度から新規認定停止】中古で買う条件 選び方・会社比較・少額投資
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太陽光発電投資は2026年が最後の年【地上設置は2027年度から新規認定停止】中古で買う条件

監修・執筆 不動産投資リサーチ編集部 金融・不動産分野のリサーチ/メディア運営/一次情報を突き合わせて、売り手の説明を検証しています
結論から先に。営業トークではなく、数字で判断できるように書いています。
この記事の結論(先に言います)
  • 地上設置の新規FIT認定は2027年度で停止方針。2026年度が実質的な最後の年です(調達価格等算定委員会2026年2月5日公表)。
  • FIT単価は2012年度の40円から2026年度は9.9円まで下落。14年で約1/4になりました(筆者試算の目安)。
  • 中古を検討する際は利回りだけでなく、認定年度・連系年月・FIT単価・残存調達期間の4点を欠かさず確認してください。
  • 初期投資支援スキーム(19円・24円)の対象は住宅用と屋根設置のみ。地上設置には適用されません
  • パワーコンディショナー交換費用と銅ケーブルの盗難は、中古案件でも共通して負うリスクです。

太陽光発電投資に興味を持つ方から、私たちはよくこんな相談を受けます。「今から野立て(地上設置)の太陽光を始めても、まだ利回りは出ますか」。答えにくい質問です。なぜなら制度そのものが、新設の地上設置を締め出す方向に動いているからです。

私たちは、不動産会社の販売資料を公的な一次情報と突き合わせて検証することを専門にしています。これまでに数十社分の販売資料と収支シミュレーションを読み比べ、Q&Aサイトに投稿された購入後の相談も継続的に読み込んできました。売電収入というキャッシュフローは不動産の家賃収入と似ていますが、太陽光には不動産にはない「制度の期限」というリスクがあります。

この記事では、2026年度が地上設置の実質的なラストイヤーである理由を、調達価格等算定委員会の公表資料に基づいて説明します。あわせて、主戦場になりつつある中古(セカンダリー)市場で失敗しないための4つの確認項目もお伝えします。

売り手のパンフレットには「利回り」しか書かれていないことが多いです。私たちが伝えたいのは、その利回りがあと何年続くのかという、残存期間の話です。この記事を読めば、営業トークだけでは見えてこない数字の実態が見えてくるはずです。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品・不動産の取得を勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。掲載している数値・制度は執筆時点(2026年7月)のもので、最新の情報は各社の公式サイト・公的機関の一次情報をご確認ください。また本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。
この記事の更新履歴
  • 公開。すべての数値を一次情報にあたって確認し、時点と出典機関を明記しました。
  • 経済産業省 調達価格等算定委員会の令和8年度意見(2026年2月5日)を反映しました。事業用の地上設置太陽光は2027年度から新規認定の対象外となる方針です。
制度の期限

太陽光発電投資、2026年度が地上設置の実質ラストイヤーである理由

結論から書きます。事業用太陽光のうち10〜50kW未満の地上設置は、2027年度から新規のFIT・FIP認定が停止される方針です。

FIT(固定価格買取制度)とは、再生可能エネルギーで発電した電気を国が定めた単価で一定期間買い取る制度です。FIP(フィードインプレミアム制度)は、市場価格に一定の補助額(プレミアム)を上乗せする制度で、FITより市場に連動する部分が大きくなります。

調達価格等算定委員会は2026年2月5日、令和8年度の意見として、地上設置の10〜50kW未満と50kW以上の両方について、2027年度から新規の支援対象外とする方針を示しました。50kW以上の地上設置はFIP基準価格での運用ですが、こちらも同様に支援が止まります。

つまり2026年度中に認定を受けられなければ、新設の野立て案件は制度の後ろ盾を失います。これから土地を探して野立てを新設するという投資モデルの入口は、2026年度でほぼ閉じます。

次の図で、2012年度の制度開始から2027年度までの流れを時系列で整理しました。

2012年度FIT開始40円/kWh2020年代単価下落が継続2026年度地上設置9.9円が最後2027年度地上設置新規認定停止出典:調達価格等算定委員会 令和8年度意見(2026年2月5日)図1 2012年度の制度開始から2027年度の地上設置新規認定停止まで。2026年度が最後の窓口になる。

15年で制度の位置づけは「新設奨励」から「既存設備の活用」へ大きく変わりました。制度の入口が閉じるという情報は、「不動産投資はやめとけ」は9割正しいという記事で触れた話とも重なります。売り手はこの期限を積極的には説明しません。

この方針転換の背景には、大規模な野立てが引き起こす景観や防災面の懸念があるとされています。急な傾斜地や森林を切り開いて設置された発電所が、豪雨のたびに土砂災害のリスクとして指摘されてきました。国としては新設を後押しするより、すでにある発電所を長く活用する方向へ舵を切ったと考えられます。地上設置の新設を検討している方は、この方針転換を前提に計画を立て直す必要があります。

野立て(地上設置)の太陽光パネルが広がる発電所。売電単価は制度開始から下落を続けている。
野立て(地上設置)の太陽光パネルが広がる発電所。売電単価は制度開始から下落を続けている。
単価下落

FIT単価は14年で約1/4に下落した

太陽光の売電単価は、制度開始から一貫して下がり続けています。10〜50kW地上設置の場合、2012年度は40円でしたが、2026年度は9.9円です。

調達価格等算定委員会の公表資料によれば、これは14年間で約4分の1への下落にあたります(筆者試算の目安:単純な比率計算)。太陽光パネルや工事費が下がったことで、同じ発電量あたりの投資回収に必要な単価も引き下げられてきた、というのが制度側の考え方です。

次の図で、この下落を棒グラフで示します。

10〜50kW地上設置のFIT買取単価(円/kWh)40.0円9.9円2012年度2026年度14年で約1/4に図2 地上設置のFIT単価は2012年度の40円から2026年度は9.9円まで下落した(筆者試算の目安:下落率)。

新設の野立てで高い単価を得られた時代は終わりました。今から新規に地上設置を始めても、期待できる単価は10分の1近くまで下がっています。新設・地上設置の売電で大きく儲ける時代は、制度上ほぼ終了したと考えるべきです。

一方、住宅用(10kW未満)と屋根設置(10kW以上)は、2027年度以降も制度が継続する見込みです。同じ太陽光でも、設置形態によって制度上の扱いがまったく異なる点に注意してください。

単価が下がった背景には、太陽光パネルや周辺機器の価格そのものが世界的に下落してきたことも関係しています。設置コストが下がった分、買取単価を下げても採算が取れる、というのが制度設計の基本的な考え方です。裏を返せば、単価の下落は太陽光そのものが不採算になったことを意味するわけではありません。ただし新設で高い単価を得られる余地は、年々着実に狭くなっています。

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価格表

2026年度と2027年度の買取単価一覧

区分ごとの単価と、2027年度以降の扱いを表にまとめました。

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区分2026年度2027年度
10kW未満(住宅用)24円(1〜4年)/8.3円(5〜10年)同左(継続)
10〜50kW(地上設置)FIT 9.9円支援停止(新規認定対象外)
10kW以上(屋根設置)19円(1〜5年)/8.3円(6〜20年)継続
50kW以上(地上設置)FIP基準価格9.6円(FIT不可)支援停止

出典:調達価格等算定委員会 令和8年度意見(2026年2月5日公表)。

この表で注意してほしいのは、住宅用と屋根設置は「1年目は高い単価、その後は低い単価」という階段型の初期投資支援スキームが組まれていることです。一方、地上設置にはこの階段型のスキーム自体がありません。

! 注意

10kW以上の屋根設置は「19円」という数字だけが強調されがちですが、これは1〜5年目だけの単価です。6年目以降は8.3円に下がります。20年間の平均で考える必要があります。

単価を年度ごとに比較する視点は、家賃相場を時点で比較する不動産投資と似ています。表面・実質だけでは足りない利回りの読み方もあわせて確認してください。

地上設置と屋根設置で単価の設計思想が異なるのは、想定される利用者層の違いによるものと考えられます。屋根設置は自家消費との組み合わせを前提にしている面がある一方、地上設置は売電収入そのものを主目的にした事業性の高い区分だからです。この違いを理解しておくと、なぜ地上設置だけが先に支援対象から外れるのかも納得しやすくなります。

表の数字を見るときは、「何年目までの単価か」という条件をあわせて確認する習慣を持ってください。単価だけを切り取って全期間に当てはめると、実際の収支と大きくずれることがあります。特に地上設置は階段型のスキーム自体がないため、収支計画書でも単一の単価がそのまま長期間続くと誤解されやすい区分です。

建設中の高層マンションを見上げた写真。太陽光には不動産のような空室リスクや入居者対応がない。
建設中の高層マンションを見上げた写真。太陽光には不動産のような空室リスクや入居者対応がない。
誤認リスク

「初期投資支援スキーム」は地上設置には使えない

販売資料で「19円」「24円」という高い単価だけが目立つように書かれているケースを、私たちは何度も見てきました。

これらの階段型価格(初期投資支援スキーム)が適用されるのは、住宅用と屋根設置に限られます。10〜50kW地上設置は、最初から最後まで一律9.9円です。高い単価だけを見せて、地上設置には適用されないという前提を説明しないのは、有利誤認を招くおそれがあります。

また屋根設置についても、6年目以降は8.3円に下がることを説明せず、1〜5年目の19円だけを根拠に20年間の収支シミュレーションを組んでいる資料を見かけます。20年間の平均単価は19円ではありません。

⚠ 警告

提示された単価が「何年目までの単価か」を確認してください。1年目の単価だけで20年分の収支表を作ると、実際の利回りより高く見えてしまいます。

収支計画書の見方については表面・実質だけでは足りない利回りの読み方でも解説していますが、太陽光の場合は単価そのものが年度によって変わる点が、不動産の家賃とは違う難しさです。

私たちが融資審査で見てきた収支計画書でも、初年度だけの好条件を全期間に引き延ばして計算する例は珍しくありませんでした。太陽光の単価表でも同じ落とし穴があります。

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注意 事業用の「地上設置」太陽光は、2027年度から新規のFIT/FIP認定が停止される方針が示されています(調達価格等算定委員会)。新規設置で売電する時代は制度上ほぼ終わりつつあります。

注意 中古物件では「認定年度・連系年月・FIT単価・残存調達期間」の4点を必ず確認してください。利回りだけを見て残存期間を見ないのが最大の失敗要因です。

注意 パワーコンディショナーの交換費用、銅ケーブル盗難のリスクがあります。

上記はビッグソーラーの公表値・公開情報にもとづく記載です。最新の条件は公式サイトでご確認ください。

中古市場

主戦場は新設から中古(セカンダリー)へ移った

地上設置の新規認定が2027年度で止まるなら、太陽光投資はもう終わりなのでしょうか。私たちはそうは思いません。

主戦場が新設から中古(セカンダリー市場)へ完全に移っただけです。中古とは、すでにFIT認定を受けて稼働している太陽光発電所を、売買によって取得する取引を指します。

中古の魅力は、新設では手に入らない高い残存FIT単価を引き継げる点にあります。認定を受けた時期によっては、18〜36円という水準の単価が、今なお残存期間中は保証されている物件が実在します。

これは不動産で言えば、新築時の高い家賃設定をそのまま引き継いで貸し出せる中古物件のようなものです。ただし太陽光の場合、その高い単価には「残り何年続くのか」という期限がいつも付いて回ります。

エリア選びが重要な不動産投資と同様に、人口が減らないエリアを狙うという考え方に近い視点で、太陽光でも「単価が高い年に認定された物件」を狙う必要があります。ここを見誤ると、表面利回りだけが高い案件をつかんでしまいます。

不動産クラウドファンディングのように少額から分散する手法とはまた別に、中古太陽光は現物資産を単独で保有する投資です。不動産クラウドファンディング比較の記事と読み比べると、資産の性格の違いが分かりやすくなります。

中古市場が拡大している背景には、認定は受けたものの資金繰りの都合で発電所を手放すオーナーが一定数いることも関係しています。売却理由も、購入前に確認しておきたい情報のひとつです。相場より極端に安い案件には、何らかの理由が隠れている場合があります。こうした事情を踏まえると、価格の安さだけで飛びつくのではなく、なぜその価格なのかを一度立ち止まって考える姿勢が大切です。売却理由が明確に説明できない案件は、慎重に検討したほうがよいでしょう。

認定年度や連系年月など、中古案件の関連書類を一つずつ手元で確認していく作業の様子。
認定年度や連系年月など、中古案件の関連書類を一つずつ手元で確認していく作業の様子。
選定基準

中古を買うときに確認すべき4点セット

中古の太陽光案件を検討する際、私たちが最低限確認すべきだと考えている項目は次の4つです。

次の図に、この4点セットをまとめました。

1認定年度いつ認定を受けたか単価水準の目安になる2連系年月送電網に接続した年月残存期間の起点になる3FIT単価適用されている買取単価案件ごとに水準が違う4残存調達期間単価があと何年続くか最重要の確認項目図3 中古の太陽光案件を選ぶときに確認すべき4点セット。利回りだけでなく期間も見る。

認定年度は、いつFIT・FIPの認定を受けたかを示します。認定年度が古いほど、当時の高い単価が適用されている可能性があります。

連系年月は、実際に電力会社の送電網に接続し、発電・売電を開始した年月です。認定と連系の間には、数年のずれがあることも珍しくありません。

FIT単価は、その物件に適用されている買取単価そのものです。同じ認定年度でも案件によって単価が違う場合があります。

残存調達期間は、その単価があと何年続くのかという期間です。事業用太陽光の調達期間は20年間が基本ですから、連系年月から20年を引けば目安が分かります。

✓ 結論

利回りの数字だけを見るのではなく、この4点をセットで確認する習慣を持つことが、中古太陽光で失敗しないための最初の一歩です。

この4点は、不動産で言えば築年数・入居時期・家賃・残存耐用年数を確認する作業に近い感覚です。太陽光でも同じように、条件をひとつずつ書き出して比較することをお勧めします。口頭の説明ではなく、書面で数字を確認する姿勢が欠かせません。

可能であれば現地を訪問し、パネルの汚れや架台のさびといった設備の状態も自分の目で確認することをお勧めします。書類上の数字と実際の設備状態は、一致しないこともあるからです。

失敗事例

利回りだけ見て残存期間を見ない失敗

中古太陽光でもっとも多い失敗は、表面利回りの高さだけで判断してしまうことだと、私たちは感じています。

次の図は、表面利回りが同じ10%でも、残存調達期間が違えば総収入がまったく変わるという、筆者試算の目安を示したものです。

表面利回り10%は同じでも残存期間で総収入は変わる(筆者試算の目安)物件A残存15年物件B残存3年両物件とも表面利回りは10%(筆者試算の目安)図4 表面利回りが同じでも、残存調達期間が短い物件Bは総収入が限られる(筆者試算の目安)。

物件Aは残存期間が長く、当面は安定した売電収入を見込めます。物件Bは表面利回りこそ同じでも、数年でFITによる買取が終わり、その後は市場価格での売電か、設備の解体・撤去の検討が必要になります。

表面利回りという指標は、あくまで1年間の収入と価格の比率でしかありません。その利回りが何年続くのかという情報は、利回りの数字そのものには含まれていません

不動産投資でもNOI(純営業収益)やイールドギャップといった指標で収益の中身を見る発想がありますが、太陽光では残存調達期間こそが最重要指標だと、私たちは考えています。

売買資料に残存調達期間が明記されていない場合は、認定年度と連系年月から自分で計算するか、売り手に開示を求めるべきです。

物件Aと物件Bの表面利回りが同じ10%だとしても、20年間で受け取れる売電収入の合計は大きく異なります(筆者試算の目安)。短期の数字だけでなく、期間全体を通した収入で比較する視点が欠かせません。

! 知恵袋の生の声

太陽光発電投資に関する知恵袋の相談で目立つのが、訪問販売をきっかけに設備を購入した人からの証言です。「相見積もりを取る間もなく契約させられ、後から調べたら市場価格より3〜4割ほど高い金額だった」という体験談が繰り返し投稿されています。訪問販売は営業コストが価格に転嫁されやすいうえ、その場で決断を迫る手法が使われがちで、冷静な比較検討ができないまま契約に至るケースが少なくありません。中には契約後にクーリング・オフを検討したものの、期限が過ぎていて対応できなかったという相談も見られます。

もう一つ、知恵袋で増えているのが「2027年以降、太陽光投資はもうできないのか」という質問です。実際には制度そのものがなくなるわけではありませんが、10〜50kW未満の地上設置は2027年度から新規のFIT・FIP認定の対象外となる方向が示されており、2026年度が地上設置における実質的な最後のチャンスだと理解しておく必要があります。この動きを受けて、新設よりも残存のFIT期間が長い中古設備を探す相談が増えている点も、最近の傾向として読み取れます。

スマートフォンとノートパソコンを使って残存FIT期間や表面利回りを試算する投資家の様子。
スマートフォンとノートパソコンを使って残存FIT期間や表面利回りを試算する投資家の様子。
リスク

パワーコンディショナー交換費用と銅ケーブル盗難のリスク

太陽光投資には、不動産にはない独自のリスクがあります。ここでは代表的な2つを説明します。

1つ目はパワーコンディショナー(直流を交流に変換する装置)の交換費用です。太陽光パネル自体は寿命が長い一方、パワーコンディショナーは可動部品を含む電気機器のため、パネルより先に劣化・故障します。中古を購入する際は、交換履歴と保証期間の確認が欠かせません。

2つ目は銅ケーブルの盗難です。太陽光発電所で使われるケーブルには銅が使われており、資源価格の上昇にともなって盗難被害が報告されています。野立て(地上設置)の発電所は人目が届きにくい立地も多く、盗難のリスクが不動産より高い場面があります。

! 注意

中古を検討する際は、フェンスや監視カメラなど盗難対策の有無、保険の加入状況もあわせて確認してください。修繕履歴が不明な案件は、想定外の出費につながる可能性があります。

不動産投資の代表的なリスクについては不動産投資の11のリスクを整理した記事でまとめていますが、太陽光は空室リスクや入居者トラブルがない代わりに、設備固有のリスクを負う投資だと言えます。

私たちが融資審査で見てきた収支計画書でも、修繕費を過小に見積もった太陽光案件は少なくありませんでした。パワーコンディショナーと銅ケーブルは、収支計画書に反映すべき項目だと私たちは考えています。

保険については、太陽光発電所向けの動産保険や盗難補償特約を扱う損害保険会社もあります。中古を取得する際は、既存の保険契約をそのまま引き継げるかどうかも、あわせて確認しておくとよいでしょう。契約が引き継げない場合、新たな加入手続きに時間がかかることもあります。小規模な発電所ほど、盗難や修繕といった突発的な出費が収支全体に与える影響は相対的に大きくなります。規模とリスクのバランスも、購入前に考えておきたい点です。

投資判断

不動産と比較した太陽光の強みと、投資判断のチェックリスト

ここまでリスクを中心に説明してきましたが、太陽光には不動産にはない強みも確かにあります。

もっとも大きいのは、空室リスクや入居者トラブルがないという点です。発電した電気は、契約期間中は決められた単価で買い取られます。滞納や退去、原状回復といった、不動産特有の手間は発生しません。

一方で、金利上昇という文脈は不動産と共通しています。日本銀行の政策金利は2026年6月時点で1.00%程度まで上昇し、短期プライムレートも2026年8月3日に改定される予定です。太陽光も融資を使って取得する場合、金利変動の影響を受けます。

最後に、この記事の内容を踏まえた投資判断のチェックリストをまとめます。

+ 補足

①新設地上設置は2026年度がラストイヤーと理解しているか ②中古の4点セット(認定年度・連系年月・FIT単価・残存調達期間)を確認したか ③パワーコンディショナーの交換履歴を確認したか ④銅ケーブルの盗難対策を確認したか。

太陽光と不動産は、どちらか一方を選ぶものではなく、資産の性格が異なる分散先として考えることもできます。少額から分散したい場合は1万円から始める不動産投資の比較記事や、不動産クラウドファンディングの比較記事もあわせて参考にしてください。

区分マンションと一棟のどちらを選ぶかという不動産の悩みと同じく、太陽光も新設か中古か、地上設置か屋根設置かで悩む方は多いです。区分と一棟どっちが得かを整理した記事の考え方は、太陽光の設置形態選びにも応用できます。

どちらの投資を選ぶ場合でも、収支計画書に記載された前提条件をそのまま信じず、自分の手元で数字を再計算する姿勢が欠かせません。私たちが販売資料を検証するときに重視しているのも、まさにこの点です。数字の裏付けを自分で確認できる投資家ほど、想定外の損失を避けやすいと感じています。

定期的なメンテナンス体制が整っているかどうかも、長期保有を前提とするなら重要な確認事項です。管理会社に委託する場合は、委託費用が収支計画にどう組み込まれているかも、契約前に見ておくとよいでしょう。

よくある質問

太陽光発電投資は2026年度から始めても遅くないですか。

地上設置を新設する場合は、2026年度が新規FIT・FIP認定を受けられる最後の年度にあたります。2027年度からは新規認定の対象外となる方針です(調達価格等算定委員会2026年2月5日公表)。すでに稼働している中古案件であれば、2027年度以降も残存期間中は取引が可能です。

中古(セカンダリー)の太陽光発電投資とは何ですか。

すでにFIT・FIP認定を受けて稼働している太陽光発電所を、売買によって取得する取引のことです。認定時期が古い案件ほど、高い単価を引き継げる可能性があります。ただし単価が適用される残存調達期間には限りがあるため、期間を確認する必要があります。

中古案件を選ぶときに一番見るべき数字は何ですか。

私たちが最重要だと考えるのは残存調達期間です。表面利回りが高くても、残存期間が短ければ総収入は限られます。認定年度・連系年月・FIT単価とあわせて、残り何年その単価が続くのかを確認してください。

パワーコンディショナーの交換費用はどれくらい見ておけばいいですか。

設置容量や機種によって差が大きく、一律の金額を示すことはできません。中古を検討する際は、過去の交換履歴とメーカー保証の残存期間を売り手に開示してもらい、今後の交換時期を個別に見積もることが大切です。

銅ケーブルの盗難リスクにはどう備えればいいですか。

野立て(地上設置)の発電所は人目が届きにくい立地も多く、盗難被害が報告されています。フェンスや監視カメラの設置状況、盗難を補償する保険への加入状況を、購入前に確認しておくことをお勧めします。

太陽光発電投資と不動産投資はどちらを選ぶべきですか。

どちらか一方を選ぶというより、資産の性格が異なる分散先として考える方法もあります。太陽光は空室リスクがない一方、制度の期限や設備リスクを負います。不動産は入居者対応が必要な一方、制度の期限はありません。目的に応じて使い分けてください。

訪問販売で買うと、どれくらい割高になりますか?

知恵袋の投稿には、訪問販売を通じて太陽光発電設備を購入した結果、市場価格より3〜4割ほど高い金額を支払ってしまったという証言が見られます。訪問販売は営業コストが価格に上乗せされやすいうえ、その場で契約を迫られて相見積もりを取る時間を確保できないことが原因と考えられます。太陽光投資を検討する際は、複数の業者から見積もりを取り、価格の妥当性を比較する姿勢が欠かせません。

2027年以降は太陽光投資はできなくなるのですか?

投資そのものができなくなるわけではありませんが、制度の内容は大きく変わります。10〜50kW未満の地上設置は、調達価格等算定委員会の令和8年度意見(2026年2月5日)により、2027年度から新規のFIT・FIP認定の対象外となる方向です。つまり2026年度が地上設置の実質的なラストイヤーであり、これ以降は残存のFIT期間が長い中古設備を購入するセカンダリー市場が主戦場になっていくとみられます。

参考にした一次情報 本記事の数値は、上記の一次情報にあたって確認しています。各数値には「いつ時点の、どの機関の数字か」を本文中に明記しました。編集部が独自に計算した数値には「筆者試算の目安」と付記しています。制度・金利は変動しますので、最終的な判断の前には必ず公式の最新情報をご確認ください。
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まとめ

私たちは、業者の販売資料を公的な一次情報と突き合わせて検証する中で、数字が甘く見積もられた収支シミュレーションを数え切れないほど見てきました。太陽光の販売資料にも、同じ構造の甘さを感じることがあります。

2026年度が地上設置の実質ラストイヤーであること、FIT単価が14年で約1/4に下がったこと、そして中古を選ぶなら残存調達期間が最重要だということ。この3点は、売り手が積極的には説明しない数字です。

太陽光も不動産も、最終的に判断するのはあなた自身です。この記事の数字を、あなたの投資判断の材料の一つとして役立ててもらえれば幸いです。

不動産投資リサーチ編集部(ふどうさんとうしリサーチへんしゅうぶ)/金融・不動産分野のリサーチ/メディア運営 私たちの専門は一つです。業者の販売資料を、公的な一次情報と突き合わせて検証すること。日本銀行の金利統計、東日本レインズの成約データ、日本不動産研究所の投資家調査、国税庁の通達、国土交通省の行政処分情報、各社のIR資料——売り手が語らない数字は、そのすべてが公開されています。ただ、誰も読んでいないだけです。銀行の審査部が物件をどう見ているのかを、投資家側の言葉に翻訳すること。それがこのサイトでやっていることです。
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